拡張テンプレート機能
拡張テンプレート機能を使うことで、メールの本文中に Outlook の連絡先情報を引用して展開することができるようになります。(プロフェッショナルライセンス)
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【拡張テンプレートの動作例】
フォーマット
拡張テンプレート機能は、本文中に指定のフォーマットで記述されたマクロ文字列を対象として機能します。
マクロ文字列のフォーマット(書式)は、次のようになっています。
( [ と ] および前後の空白は、フィールドをわかりやすくするために表現していますので、利用時の指定はできません)
$[ header ][ width ][ title ]( repeat-fields )
header 部分にはには、To:フィールドを示す 't' 、あるいは Cc:フィールドを示す、'c' の1文字を指定します。この項目は省略できません。
width 部分は、マクロ文字列を展開した場合の1行の長さを指定します。(指定がない場合、改行しません)
title 部分には、アドレス帳を展開する最初の部分にだけ出力する任意の文字列を記述できます。
( repeat-fields ) には、実際にアドレス帳から引用して展開する内容を、次の書式で記述します。
( [ $[ margin ][ field ][ separator ][ r ] ] )
margin 部分は、展開文字列が行頭に来る場合に設ける空白の桁数を指定します。
field 部分には、アドレス帳から引用する項目を次の文字で指定します。この項目は省略できません。
O | 会社名を出力します |
o | 会社名を出力します。直前の宛先と同じ会社名の場合、省略します。 |
I | 部署名を出力します。 |
i | 部署名を出力します。直前の宛先と同じ会社名、部署名の場合、省略します。 |
n | アドレス帳の登録名(Full Name)を引用します。 |
f | アドレス帳の姓(First Name)を引用します。 |
l | アドレス帳の名(Last-Name)を引用します |
p | 連絡先の敬称(Surfix)を引用します |
s | margin 桁のスペースを出力します(margin以外の指定は無視されます) |
r | 改行します(他の指定は無視されます) |
separator には、連続して出現する場合の区切り文字を指定します。
r の指定があると、現在のフィールドを展開した直後に改行を挿入します。
なかなかわかりづらいですね。
具体的な例を示しますので、参考にしてください。
ここでは、以下のメールアドレスがアドレス帳に登録されていると仮定して示します。(連絡先の敬称には「様」が設定されているものとします)
メールアドレス | 氏名 | 会社名 | 部署名 | 姓 | 名 |
masuo.isono@replyer.example.domain | 磯野 ますお | 海山○×商事株式会社 | 営業2課 | 磯野 | ますお |
anago@umiyama-replyer.example.com | 穴子 太郎 | 海山○×商事株式会社 | 営業1課 | 穴子 | 太郎 |
namihei.isono@replyer.example.domain | 磯野 波平 | 磯野 | 波平 | ||
fune.isono@replyer.example.domai | 磯野 フネ | 磯野 | フネ |
まず、もっとも簡単なテンプレート指定の例を挙げましょう。
宛先を持ったメール本文中に、次のマクロ文字列が記述されていると
To: | masuo.isono@replyer.example.domain |
本文中のマクロ | $t($n$p) |
展開後の文字列 | 磯野 ますお様 |
【解説】$t は、To: フィールドの宛先を展開します。$nは、アドレス帳から氏名を引用して展開します。
hedaer の使用例
To: | masuo.isono@replyer.example.domain |
本文中のマクロ | $tTo:($n$p) |
展開後の文字列 | To:磯野 ますお様 |
【解説】$t 直後の 'To:' が、本文中に一度だけ適用されます。
本文が、 To:$t($n) という場合でも同様に処理されますが、たとえば、テンプレートに Cc:$c($n) というマクロ指定があると、宛先の Cc: に一件も指定がない場合、Cc: だけが出力されることになってしまいますね。
header は、この問題を回避するために設けられています。
width の使用例
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
本文中のマクロ | $t20To:($n$p) |
展開後の文字列 | To:磯野 ますお様 穴子 太郎様 |
【解説】$t20 の指定で、1行の長さが20桁以内に制限されるので、「穴子 太郎 部長」が次の行に配置されます
margin の使用例
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
本文中のマクロ | $t20To:($3n$p) |
展開後の文字列 | To:磯野 ますお様 穴子 太郎様 |
【解説】$3n とマージンを設定したことによって、次行の先頭に3桁のスペースが含まれています
separator の使用例
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
本文中のマクロ | $tTo:($3n$p、) |
展開後の文字列 | To:磯野 ますお様、 穴子 太郎様 |
【解説】先ほどの例から20行制限をとってしまうと、宛先の名前がくっついてしまいます。separator で指定された文字列が、列挙された名前の間に挿入されます。一連の最終要素の場合、separator は付加されませんので、最後の名前の後には出力されません。
$r の使用例
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
本文中のマクロ | $tTo:($3n$p$r) |
展開後の文字列 | To:磯野 ますお様 穴子 太郎様 |
【解説】フィールド終端の $r 指定で、各要素の出力ごとに改行を挿入します。
会社名、部署名の出力例
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
本文中のマクロ | $tTo:($3O $I $n$p) |
展開後の文字列 | To:海山○×商事株式会社 営業2課 磯野 ますお様 海山○×商事株式会社 営業1課 穴子 太郎様 |
【解説】"$3O "の指定で、行頭の場合3文字の空白を出力し、続く$Iの部署名との間に空白を設けています。
$I には separator で空白が付いていますので、名前の直前にも空白が出力されています。
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
本文中のマクロ | $tTo:($3o $i $n$p ) |
展開後の文字列 | To:海山○×商事株式会社 営業2課 磯野 ますお様 営業1課 穴子 太郎様 |
【解説】上記例の $O, $I を小文字の $o, $i に変えてみました。
会社名が連続しているので、穴子さんの会社名が省略されているのがわかりますね。
$n の区切り文字にスペースを追加して続く宛名との間が連続しないようにしています。
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
本文中のマクロ | $tTo:($3o r$5i r$7n$p $r) |
展開後の文字列 | To:海山○×商事株式会社 営業2課 磯野 ますお様 営業1課 穴子 太郎様 |
【解説】$3oの separator 直後に r を入れ会社名の変更で改行するようにしました。
$i を $5i r として、行頭5文字のスペースと改行し、$7n $r で、名前を行頭7文字のスペースで改行するように設定してみました。
本文中の宛名が、字下げも付いて、見やすいものになりましたね。
※$r と $n内の r 指定について
ここで、宛先をちょっと増やして見ます。
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com, namihei.isono@replyer.example.domain,fune.isono@replyer.example.domain |
本文中のマクロ | $tTo:($3o r$5i r$7n$p r) |
展開後の文字列 | To:海山○×商事株式会社 営業2課 磯野 ますお様 営業1課 穴子 太郎様 磯野 波平様 磯野 フネ様 |
【解説】最後の2名の名前が改行されていないのに注意してください。$r は明示的に改行しますが、$n r の改行指示は、会社名と所属部署が変化した場合にだけ改行されることになっています。最後の2名は所属情報がアドレス帳に登録されていないため、どちらも同じと判断されて改行されません。
$r と各フィールドの r 指定を組み合わせて、柔軟なフォーマットを作れるようになっています。
Cc:フィールドの展開
To: | masuo.isono@replyer.example.domain,anago@umiyama-replyer.example.com |
Cc: | namihei.isono@replyer.example.domain,fune.isono@replyer.example.domain |
本文中のマクロ | $tTo:($3o r$5i r$7n$p r) $cCc:($3o r$5i r$7n$p r) |
展開後の文字列 | To:海山○×商事株式会社 営業2課 磯野 ますお 様 営業1課 穴子 太郎様 Cc:磯野 波平様 磯野 フネ様 |
【解説】Cc:フィールドを展開するには、$c マクロを利用します。使い方は、$t マクロと同等です。
【その他】
$f を使えば、名前の姓だけを列挙することができます。区切り文字に'様、'と付けておく( $f様、r )と、敬称付きの姓だけを列挙することができます。
※注意:この場合、グループの最後の姓には区切り文字が付加されませんのでご注意ください。
$l (l は小文字のL)を使えば、名(LastName)だけを列挙することができます。あまり使い道は無いかもしれませんが、家族へのメールなどに利用できるかもしれませんね。
$s は任意の空白を展開します。 $10s と書いておくと、10文字分の空白が出力されます。
※$s の空白展開と $r の改行指示マクロは、行頭では機能しない仕様になっています。